身近な方が亡くなったとき、最初に行うのが1合目の役所手続きです。
手続きの数が多く、中には期限が決まっている手続きもありますので、以下の流れに従って、一つずつ役所手続きを進めていきましょう。
1 死亡届の提出
まず最初は死後7日以内に死亡届を提出します。
病院で亡くなった場合
死亡を確認した医師が死亡診断書を発行してくれるので、それを受け取ったら故人の死亡地か本籍地または届出人の所在地の役所に死亡届を提出します。
自宅で亡くなった場合
かかりつけの医師・病院に連絡します。かかりつけの医師・病院がない人は警察に連絡し、医師から死体検案書を受け取って死亡届を提出します。
【Point!】
死亡診断書は、その後の相続手続きにも必要なため、5部コピーを取っておきましょう。
2 火葬許可申請書の提出
死亡届と同時に火葬許可申請書も提出します。
受理されると通常火葬許可証が発行され、これを火葬場に提出することで火葬が認められます。
火葬を終えると埋葬許可証が手渡されますので、納骨まで大事に保管しましょう。
3 世帯主変更届(住民異動届)
故人が世帯主だった場合、世帯主変更届(住民異動届)を14日以内に提出します。死亡届と一緒に提出すると良いでしょう。
なお、残された世帯員が1人の場合や配偶者と幼児など次の世帯主が明確な場合は、世帯主変更届の提出は必要ありません。
4 健康保険の手続
死後14日以内に、故人が加入していた健康保険に資格喪失手続きと健康保険証の返却を行います。
国民健康保険の方(自営業者や学生)
【提出先】
故人の住所地の役所(国民健康保険窓口)
【必要書類】
- 国民健康保険異動届(資格喪失)
- 国民健康保険証の原本
- 高齢受給者証(70歳~75歳までの場合)
- 戸籍謄本など
- 世帯主の印鑑
- 本人確認書類
- 委任状(代理人が提出する場合)
後期高齢者医療保険の方(75歳以上)
【提出先】
故人の住所地の役所(国民健康保険窓口)
【必要書類】
- 後期高齢者医療被保険者資格喪失届
- 後期高齢者医療被保険者証
- 戸籍謄本など
- 世帯主の印鑑
- 本人確認書類
- 委任状(代理人が提出する場合)
その他(会社員や公務員)
【提出先】
勤務先の会社や協会けんぽ、健康保険組合
【必要書類】
- 健康保険
- 厚生年金保険被保険者資格喪失届
- 健康保険被保険者証
- 死亡退職届
- その他会社から求められた書類
故人の健康保険の扶養に入っていた家族は、死亡日の翌日に健康保険等の資格喪失します。
自分自身の健康保険証も返却するとともに、自分で国民健康保険に加入するもしくは会社員である他の家族の被扶養者になる必要があります。
5 葬祭費や埋葬費の請求
故人が国民健康保険、後期高齢者医療制度に加入していた場合は葬祭費が、会社員などで健康保険に加入していた場合には、埋葬料または埋葬費が支給されます。
申請期間は2年間で請求しない限り支給されることはないので、健康保険の資格喪失手続きとあわせて請求を行いましょう。
6 介護保険資格の喪失届
亡くなった人が65歳以上もしくは40~64歳で要介護認定を受けていた場合、死後14日以内に介護保険被保険者証の返却と介護保険資格喪失届を提出する必要があります。
【提出先】
役所の福祉課窓口
【必要書類】
- 介護保険資格喪失届
- 介護費保険者証
7 年金の受給停止手続き
故人が年金を受給していた場合には、14日以内(厚生年金の場合には10日以内)に受給停止手続き行います。
手続きが遅れ、年金を余分に受け取ってしまった場合には、後日年金を返さなければなりません。
【提出先】
国民年金:住民地の役所
厚生年金:社会保険事務所
【必要書類】
- 年金受給者の死亡届
- 年金証書
- 死亡診断書のコピーまたは戸籍抄本
年金受給停止手続きと同時に、未支給年金も請求します。未支給年金の請求期限は5年ですが、年金受給停止手続きと同時に行うとスムーズです。
8 公共料金等の名義変更・解約
公共料金の名義変更や解約など、故人名義の様々な契約に関する手続きを行います。
法的な期限はありませんが、料金が発生し続ける契約は早めに解約しましょう。
解約漏れを防ぐためには、故人の預金通帳、クレジットカードの利用明細を確認するといいでしょう。
お金が定期的に引き落とされていたら、その中に解約が必要なものが含まれている可能性があります。
各種年会費
クレジットカードやスポーツクラブなどの年会費は、解約申請がない限り支払いが続いてしまうので早めに解約をしましょう。
携帯電話・インターネット
解約日までの日割り料金が発生するため、こちらも早めに解約しましょう。
公共料金(電気・ガス・水道)
公共料金の契約者が亡くなったときは、誰も使わない場合には解約し、同居していた方が引き続き使いたい場合には、契約の名義変更を行います。
相続人が部屋の後片付けなどをする場合、先に電気契約を切ってしまうと真っ暗な状態で作業をしなければならないので、片付けが終わってから解約するのが良いでしょう。
また、公共料金を自動引落しで支払っていた場合、死亡後の口座凍結で支払いが滞る恐れがあるので、利用を継続する場合には公共料金の引落とし口座の変更も行いましょう。
9 高額医療費の請求
長期入院などにより、故人の医療費が高額になった場合、相続人が高額医療費の支給申請をすることで一定の金額の払い戻しを受けることができます。
こちらも申請期間は2年間なのでお忘れなく。
10 死亡保険金請求
保険会社に死亡の事実を伝えると、必要書類の案内が送付されるので、死亡保険金の受取人が必要書類を揃えて保険会社に提出します。
保険会社によって、必要資料が若干異なるため、事前に保険会社に確認しましょう。
【必要書類】
- 死亡保険金請求書(保険会社指定)
- 被保険者の戸籍謄本または住民票
- 受取人の戸籍謄本
- 受取人の印鑑証明書や免許証のコピー(受取人の本人確認書類)
- 医師の死亡診断書または死体検案書
- 保険証券 など
11 遺族年金の請求
遺族年金は国民年金または厚生年金保険の被保険者の方が亡くなったときに遺族が受け取ることができる年金です。
国民年金(遺族基礎年金)の手続き
故人が国民年金の加入者で、その方によって生計が維持されていた「18歳到達年度の末日までにある子どものいる配偶者」または「子ども」が遺族基礎年金を受給できます。
遺族基礎年金を請求するには、年金請求書(住所地の市区町村役場、年金事務所又は街角の年金相談センター窓口に備付け)、故人の年金手帳、戸籍謄本や住民票、収入が確認できる書類、受取先の金融機関の通帳などが必要となります。
厚生年金(遺族厚生年金)の手続き
遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者中または被保険者であった方が亡くなったときで、その方によって生計が維持されていた遺族が受けることができます。
遺族基礎年金とは異なり、子どもがいることは要件になっていないため、要件に当てはまれば、子どものいない配偶者も受給することができます。
遺族厚生年金を請求するには、年金請求書(年金事務所及び街角の年金相談センターに備付け)、故人の年金手帳、戸籍謄本や住民票、収入が確認できる書類、受取先の金融機関の通帳などが必要となります。
なお、必要書類については場所によって変わることもあるため、年金事務所等にあらかじめ連絡して確認しておきましょう。
おくやみコーナー
おくやみコーナーとは、遺族の負担軽減を図るため、必要な手続きを案内するほか、申請書の代行作成等の支援や書類の受理をワンストップで対応してくれる窓口です。
住んでいる自治体におくやみコーナーがある場合には、事前に予約を入れて利用すると、相続山1合目の役所手続きをスムーズに終えることができます。
2合目に向かうに当たって
これから相続山を登るにあたっては、亡くなったことを示す文書や相続人であることを証明するものなど、実にたくさん書類が必要になってきます。
その多くが役所で取得できるので、以下の書類をまとめて取っておきましょう。
故人の分
①出生~死亡までの戸籍謄本
②住⺠票の除票
相続人全員分
①現在の戸籍謄本(相続人全員分)
②住⺠票(相続人全員分)
③印鑑登録証明書(相続人全員分)
故人所有の不動産
①名寄帳
②固定資産評価証明書
以上で相続山1合目の役所手続きは終了です。お疲れさまでした!
役所手続きは必要なことも多く、慣れない作業で大変だったと思います。
故人の住所地におくやみコーナーがある場合には、そこを利用することをおすすめします。
さて、少し休んだら、次は相続山2合目の相続人の決定に進みましょう。