3~4合目 遺産探し

相続山2合目の相続人の決定が終わったら、次は遺産探しです。

 

探すべき遺産

 

相続人が探すべき遺産とは、お金に見積もることができる全てのものが対象となります。

 

具体的には、現金、預貯金、有価証券、土地、家屋、自動車、貴金属、ゴルフ会員権、貸付金、借地権、生命保険など。ここで探すべき遺産が漏れてしまうと、この後の遺産分けや相続税申告がやり直しになります。

 

同居している家族であっても、全ての財産を細かく把握しておくのはなかなか難しいですし、別居していれば尚更大変です。

 

だからといってやみくもに探し回るのは大変なので、遺産の種類ごとに効率の良い探し方をご紹介しましょう。

 

銀行預金の探し方

 

 

預金通帳


まず初めに探すのは預金通帳です。もし預金通帳が見つかれば、その銀行にどれくらい預金が残っているか把握できます。

 

残高明細書


仮に、最新ではなく古い通帳しか出てこなくても、銀行が亡くなった日時点の残高証明書を発行してくれますので、預金残高を把握することが可能です。

 

郵便物


もし、通帳が見つからなかった場合には、銀行からの郵便物が届いてないか調べてみましょう。その他に、銀行の粗品とか封筒がある場合には、その銀行に問い合わせてみましょう。亡くなった人の口座が見つかるかもしれません。

 

株式・投資信託の探し方

 

 

取引報告書


証券会社から年に数回送られてくる取引報告書がないか調べてみましょう。

 

もし有価証券を保有していれば、具体的な銘柄名や評価額が記載されているので、亡くなった人の遺産を見つけることができます。

 

配当金の支払通知書


取引報告書が見つからなかったとしても、株主に配当金を支払っている会社であれば、配当金の支払通知書が郵送されてくるはずですので探してみましょう。

 

ほふり


なお、どこの証券会社に預けているか分からない場合には、証券保管振替機構(通称:ほふり)に調査依頼をおこなうことで、亡くなった方が保有していた株券と、それが保管されている証券会社を知ることが出来ます。

(参考)

ほふり(証券保管振替機構)ホームページ

 

生命保険の探し方

 

 

保険証券


生命保険については、保険証券を見つけることができれば、どこの保険会社の、どんな保険に入っていたかすぐにわかります。

 

生命保険料の控除証明書


もし見つからなくても生命保険の掛け金を支払っていた場合、年末近くになると確定申告の必要書類として保険会社から生命保険料の控除証明書が届くので諦めてはいけません。

 

預金通帳


また、預金通帳に掛け金の引き落とし履歴が残っている場合には、生命保険などがあるのでは?と推測できます。

 

取引明細書


たとえ預金通帳が見つからなくても、どこの銀行に口座があるかわかっていれば、お金の出し入れを記録した取引明細書という預金通帳と同じような書類を銀行が発行してくれるので、過去の入出金を確認することが出来ます。

 

不動産の探し方

 

 

固定資産税の納税通知書


不動産を探すに当たっては、まずは固定資産税の納税通知書を調べてみましょう。

 

納税通知書は土地や建物を所有していれば毎年5月頃に市区町村から送られてきます。その中にある固定資産税の課税明細書を見れば、所有している不動産が一覧になっているので、とてもわかりやすいと思います。

 

名寄帳


しかし、固定資産税の納税通知書は、固定資産税がかかる不動産を所有している人にしか届かず、また、不動産を誰かと共有していた場合、その共有者のところへ固定資産税の納税通知書が送られてしまっている可能性があるため、不動産を漏れなく把握するためには名寄帳を取得しましょう。

 

名寄帳とは、ある人が持っている不動産の一覧表のことで、課税明細書との違いは単独での所有だけでなく、誰かとの共有分も記載されている点と固定資産税が課税されていない不動産も記載されている点です。

 

ただ、名寄帳は市区町村単位で発行されるので、ほかの市区町村にある不動産は記載されません。そのことを念頭に置きながら、必要に応じてほかの市区町村からも名寄帳を取ることを検討してみましょう。親御さんと縁のある土地や、会話で話題に上っていた場所など、思い出してみてください。

 

権利証


併せて、先祖代々所有している土地の権利書も探してみましょう。正確には登記識別情報(2005年3月6日以前は「登記済証」)と呼ばれるものですが、固定資産税の納税通知書や名寄帳で把握し切れなかった不動産が発見できるかもしれません。

 

借金の探し方

 

 

これまで挙げた金融資産や不動産はプラスの遺産ですが、借金もマイナスの遺産として相続の対象となります。

 

生前、家族に相談せず知人の連帯保証人になっていた……なんてこともたまにあり、借金や連帯保証人としての地位も相続人に引き継がれることになるので、注意が必要です。

 

借用書・督促状


まずは、故人に借用書借金の督促状が届いてないか調べましょう。

 

預金通帳


あとはやっぱり預金通帳。毎月決まった額の返済があるようだったら、もしかすると借金が残っているかもしれません。

 

信用情報機関


あちこち探しても借金が見つからず、それでもまだ心配でしたら、銀行や消費者金融、クレジット会社の利用履歴を登録している信用情報機関に問い合わせてみるのも1つの方法です。

 

なお、住宅ローンについては、団体信用生命保険(通称「団信」)に加入していれば、本人の死亡により残りの返済が不要になるので、遺産の対象外となります。


 

故人の遺産がすべて見つかったら、遺産探しは終了です。

 

次の相続山5合目では、いよいよ探し出した遺産を誰が相続するかを決める遺産分けが待っています。

 

この遺産分けが相続山最難関で、ここで揉めてしまうとそれ以上先に進むことができません。

 

ここから先は慎重に登って行きましょう。